2017年3月8日水曜日

「みんなの活動発表会」事業提案 報告[その3]

「みんなの活動発表会」事業提案 報告[その3]
2017年3月8日(水)19:00 茅野市民館 マルチホール
遊び案内人:柏木陽(NPO法人演劇百貨店代表/演劇家)
出演:「ごっこ遊びをご一緒に」に参加した皆さん

茅野市民館グランドオープン前、2005年4月に開催した市民参加型プレイベント「一緒に舞台初仕込み」を映像で紹介。



地域?障がい?アート?「とくとくトーク」

とくとくトークの報告は、茅野市民館の辻野隆之ディレクターと柏木さんとの「とくとくトーク」vol.3。


柏木「大澤寅雄さんを招き「地域とアート」、久保田翠さんを招き「障がいとアート」という切り口で、参加者の皆さんからもたくさん意見を言っていただく形でトークセッションをやってきました。大澤さんとの話を受け、茅野市という55,000人の街の公共の劇場ではどんな役割があって、どんなことをしていけばいいのか、という問いについてどう考えているか。もうひとつ、久保田さんとの話を受け、障がいを持つ人も持たない人も、どんな人でもが集い、何か活動を行なっていく場として、果たして劇場は機能するかということを、辻野さんにうかがいたいと思っていました。」
辻野「今、12年前の映像を見ていただいたが、市民館の ミッションが〈芸術から産業まですべての生活にかかわり地域の文化創造に関与していく〉という今までにない劇場の価値観だった。鑑賞だけでなく、地域文化 の創造、それはすごい、と。劇場でどういう遊びの可能性があるか、真剣に遊ぶことを考えようかな…という、当時の自分のミッションとちょうど重なった。地域にとってどういう可能性があるか、そこが合致した。〈みんなで舞台初仕込み〉もそう。普通、市民の皆さんにやってもらったりしないが、皆さんが劇場ともっと関わるなかで、なにか次のことが生まれるのではないかという思いがあった。毎年“劇場と友達になろうよ”という事業を展開していて、12年目にな り、ここでもう1回、これからの劇場のありよう、この地域・気候・風土の劇場でなにができるかを、コアな部分まで踏み込んで探りたいということを、柏木さんにファシリテートしていただき、やってきた。」
柏木「よく忘れちゃうんですけど、市民館のミッションに〈芸術から産業にいたる地域文化の創造〉とある。それで思ったんですけど、今アートだと思ってやっていること、不思議なもの、芸術、マジックとして認識されているものが、遠くない未来に産業化され、普通に自分たちが使うものになる…と。ここでやっているさまざまな実験が、いつか不思議なものじゃなくなっていくっていうことを、今後体験していくのかもなと思いました。」
辻野「大澤さんが“アートってなんだろうね?”と言っていて、それでとっても納得した。答えのでてるものを再現するのもありかもしれないけれど、“なんだろう?”というクエスチョンのところを、みんなでモヤモヤしながら交流して語り合う。それを実は大昔から人はやってきたんじゃないの?という気がしている。ギリシャの円形劇場で“自分はこう思うんだけど”って話をしだした、表現する・人に伝えるという、そこに原点がある気がする。」
柏木「小規模の街でこういう劇場をもち、クエスチョンを持ちながらなにかを生み出していく、そういうことをやっていくことの、どんなところに可能性があるのか。」
辻野「それこそわからない。ビジョンや構想はモヤモヤと見えているが、答えがあるものに向かっているのではなく、ここに暮らす皆さんとなにかしらつくっていくんだろうと思う。クエスチョンを前向きに積み重ねていくって、持続性があり、伸びしろがずっと続いていくんじゃないか。クエスチョンを失ってしまったら 悲しいという気がする。もしかして劇場はそれを疑似体験できる。誰でも、どんなクエスチョンを投げかけていい…というスタンスが、伸びしろを支えていくのかなという気がする。久保田さんの話も腑に落ちた。言葉にするのは難しいが。」
柏木「久保田さんが“浜松は20万人でやりにくい。茅野はいいわね、なんでもできるわよ”と。僕らは人口が多いほうが税収も多いしマンパワーもあるしいいかなと思う。でも実際そこでやってる彼女は、55,000人 のほうが可能性があるというし、大澤さんも同じことを言っていた。でも、住んでる人からすると“えー?”かもしれないじゃないですか。だから、この可能性に関してもっともっと考えていけたらいいのになと思って。なので舵取り役の辻野さんに、たとえば13 年目なにをやっていくのかな、とお聞きしたい。」
辻野「これまでクエスチョンを皆さんで前向きに積み重ねることをやりながら、多ジャンルのアーティストさんと一緒にやってきた。アーティストさんは〈変〉を取り柄に生きてるすばらしい人たち。そのアーティストの力は本当にすごい。そういう力と皆さんが一緒に遊んで楽しんでいく場所を保証していく。交流できる場を担保していくのがわたしの役割なのかなと思っている。」
柏木「この1年、〈ごっこ遊び〉でいろんなことがつくられ、いろんな遊びをしてきたが、今日概観を見てみてどう思われました? 」
辻野「あがってきた階段が次の段階に入って来ているなと感じている。思春期から大人へ行くところに入って来た。たとえば〈おでかけ隊〉。劇場のなかでいろんな種をまく作業をしてきて、それが主体的、自立的に街なかに出ていくと文化になっていくのかな、と。主体的な活動が芽を出して花を咲かせる、というところまでいけると主体的な文化が存在するのだろうな。花を咲かせて実になる、糧になるまでを見届けたいと思っている。市民館が仕掛けるのでなく、皆さんが仕掛けるオリジナルの芸術がここから生まれると、それは老後の楽しみ。」
柏木「今日報告会で、さまざまな局面を見る事ができた。今日見た〈茅野のCMつくっちゃおう〉の映像で、もともと失われていく風景をバックに踊り、そこにアーカイブするようにしてつくる発想だったが、シャボン玉が出てくることによって、アーカイブするのもいいけど、その先=未来をつくっていくんだよということをなんとなく投げかけられたような映像になっていることを発見した。アーカイブしながら、 過去を振り返りながら、また未来を見据えていく活動を今日見ることができた。」
辻野「なんのためにアーカイブするのか。それは未来に生かすため。体感することを経験してもらうことが地域の未来につながっていくかなと思っています。」

=======

発表会終了後は、柏木さん、参加者の皆さんとスタッフ勢揃いで「乾杯!」
 ぎっしりみっちり遊んだこの1年。ありがとうございました!





0 件のコメント:

コメントを投稿